京都のIT系学生コミュニティ“CAMPHOR-”の魅力とは!?

カンファー

IT技術を活用したサービスや商品で生活環境が日進月歩していく近年において、プログラミングは将来自身がエンジニアを目指すかどうかに関わりなく必要不可欠な素養になりつつある。グローバル化が進む社会において英語力が必要とされるのと同様に、IT化の目覚ましい社会にプログラミングに無知のままで乗り出すのは大変心もとない。そんな世相を反映して、大学のシラバスにはプログラミング授業が並び、Web上には国内外のプログラミング学習サイトがひしめいている。しかしながら、「大学のプログラミング授業は、面白味がなくて退屈だ」「独学でプログラミングを始めたけど、すぐに挫折した」といった声が多く聞かれる。どうやらプログラミング習得への道は、孤独で茨多き道なようである。

しかし、そんな嘆きをお持ちのみなさんに耳寄りな朗報がある(ただし、地域限定)。 京都大学のほど近くに、プログラミングを無償で勉強できる学生のコミュニティがあるという――その名はCAMPHOR-(カンファー)。 「プログラミング?何それおいしいの?」といった初心者から、両手の指ほどの言語を自由自在に扱う超ベテランまで、大学・学部を問わず様々な学生が集まり運営をしている。プログラミングやデザインを学ぶ場は近年ますます増えてきているが、100%学生が互いに教え学び合い(しかも無償で!)、企業とイベントを行ったり、メンバー同士でサービス開発を行っていると聞き及び、一路京都へ赴いた。

CAMPHOR-(カンファー)

makuake 京都のIT系学生コミュニティ。 CAMPHOR- HOUSEと称する無償ワークスペースを拠点に、学年や専攻を問わず様々なバックグラウンドを持った学生が集まり、プログラミングやデザインといった創作活動を実施。企業からの協賛などでコミュニティの運営費などを賄っているが、最近ではクラウドファンディングにて資金調達を行うなど、独自ソースでの資金獲得も積極的に行っている。 カンファー公式HP

京都大学正門から歩くこと5分。全く普通の民家が軒を連ねる一角にCAMPHOR- HOUSEがある。古民家を一軒丸ごと借りて運営しているということで、よほど意識していないと家の前を通ってもそれと気づかないほど周囲に溶け込んでいる。いざ、一歩中へ足を踏み入れると、外の暑さと対照的にほんのり薄暗い感じがなんとも雰囲気を醸し出している。古民家というだけあって、木造作りの家屋やふすま、低い天井などが落ち着いた空間を作り出しており、風通しのよい縁側でパソコン片手に開発を行うのが夏の楽しみなのだという。

CAMPHOR_HOUSE

 

CAMPHOR-活動概要

CAMPHOR-が行っている活動は主に3つある。

1.コミュニティスペース運営 まさにこの古民家のことで、基本的に平日と土曜日の午後~夜にかけて運営メンバーが交代で鍵を開けているのだという(毎日の開館時間は公式HPから確認できる)。プログラミングやデザインに興味のある学生であれば誰でも無料で使うことが可能で、コーヒーと参考書と冷房付き。

2.イベント開催 現在は月2回ほど行っており、いつもの作業スペースが座布団を敷き詰めたイベント会場となる。同志が集まって行う勉強会やハッカソン、LT会(=Lightning Talk会。開発した製品や各々が学んだ技術・サービスについて簡単な発表を行い、感想や意見を交換する会)などを催している。最近では企業との協賛イベントも多く、Webサービスを展開する企業の社員を招いて講演会が開かれることも。もちろんこうしたイベントには、運営メンバー以外の一般の学生も誰でも参加可能だ。

3.サービス開発 ときに自分たちの作りたいものを、ときに企業や団体からの依頼で、プロジェクトごとに有志を募って開発を行う。「ワンナイト人狼」というサービスでは、賞を受賞し、その賞金で2階のエアコンを購入したという。オープンデータを使用して花火大会でより快適な動線を提示する「びわこ花火ガイド」というアプリは、団体からの依頼で開発を行い、円滑な大会運営に貢献するなど実績を残している。

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(LT会の様子@CAMPHOR- HOUSE)

学生の対面環境が生むCAMPHOR-の意義

CAMPHOR- はもともと、“京都を、モノづくりに情熱を持つ人が集まり、世界を変えるサービスが日々生まれ続けるシリコンバレーのような場にしたい”という思いから生まれた。その後も、毎年卒業などに付随して運営メンバーが入れ替わりながらも、これまで5年続いてきた。CAMPHOR-に入って4年目になるという京都大学大学院1年の高畠さん(現5期代表)は、face to faceで話せる場所があることが開発においてはとても重要だと述べる。

―コードを独学でも学ぶことができるようになってきている高畠さんにとって、あえてこの場所に来る意味とは?
プログラミングはよく、パソコンさえあれば遠隔でも開発ができるように思われがちなんですが、プログラマーにとって対面で話せるリアルな場は非常に大切です。Skypeなんかでも話せるじゃないかと言われそうですが、Skypeでは全然情報量とスピードが追いつかないんですよ」

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また、京都大学工学部情報学科4年の宮崎さんは、自分が知っていること・学んだことを話せる人がいるというだけで嬉しいと語る。

「情報学科でも、コードを書ける人は実は思ったほどはいなくて、その中でもプログラミングのことを話していて本当に面白いと思えるのは1学年に2~3人くらいなので、そもそも学校ではなかなか出会うことができないんですよね。ですが、ここに来るとプログラミング大好きな人ばっかりが集まっていて、中にはすごく極めているような人もいるからとても楽しいんです」

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CAMPHOR-だから自作アプリも短期間で

この4月からプログラミングを始めたという京都大学3年の松元さんは、東京のインターン先でCAMPHOR-運営メンバーを紹介してもらったのがきっかけだという。

「ここに来た当初は全くの初心者でしたが、凄腕のエンジニアの方々に無料で優しく丁寧に教えてもらいつつ学習しています。CAMPHOR-を知る前は、正直エンジニアというのは一人でカタカタやっているような暗いイメージがありましたが、みなさん気軽に接してくださるので、ここに来るのをいつも楽しみにしています」

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プログラミングを始めて間もない松元さんもすでに自作したアプリがあるそうで、豆の種類や挽き方、誰が淹れた味が好きかなどコーヒーに関するメンバーの好みを記録し、データが集積すればその日ハウスにいるメンバーに合わせて豆のレコメンドなどをしてくれる。

―はじめて3か月でよく作ってみよう!っていうのがすごいと思うのですが、そんなに簡単に作れてしまうものなのでしょうか。
「僕一人だったらきっと無理だと思いますが、ここにいればわからないことをすぐ先輩に聞くことができますし、“みんなが当たり前のようにプログラミングをしている環境”に身を置くと案外できちゃうものなんです(笑)だから、こうしてプログラミング漬けになれる場所があるのはホントにありがたいですね」

カンファー本棚 (先輩に尋ねるだけでなく、過去の先輩たちが寄贈してくれた本からも学ぶことができる)

実は文系 - CAMPHOR-の“神”

1年生の頃からコーディングを始めるも、CAMPHOR-の運営メンバーになったのは同じく最近だという谷口さんは先輩に誘われたのが参加のきっかけだそう。

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「僕は今3年生なんですけど、1個上の先輩に声をかけてもらって、その人がCAMPHOR-のメンバーだったんです。その先輩はCAMPHOR-では“神”と呼ばれているくらいプログラミング力がすごくって、とてもCAMPHOR-に興味を持ちました」

 

CAMPHOR-の神こと亀岡さんは京都大学経済学部の4年生。プログラミング歴は10年以上という。

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―10年以上ということは小学生の時からですか!?そうするともはや亀岡さんは一人で黙々と作業をしているような感じですか。
「黙々とやっているときもありますが、学びたい人には積極的に教えていますよ。自分にとってよい息抜きにもなりますし、そうして技術力が高い人が増えると、より高度なことについて話せる仲間が増えるので単純に嬉しいんです」

理系の学部に所属している人が多い中で、経済学部に所属している亀岡さん。

―どうしてまたプログラミングと関係なさそうな文系の学部に?
「理系だからプログラミング…という感じでもないので、学部の文理はあまり関係ないような気もしますが、高校生の頃の僕は“エンジニア=企業の奴隷”というイメージを持っていて……なので、コーディング以外にも何かできることがあった方がいいかも!と思って経済学部にしましたが、ここにはあまり意味はないですね(笑)」

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(座卓を囲んで談話をすることも)

温かな仲間と涼しい部屋とプログラミングスキルが君を待っている

学年や所属、参加歴の差など全く感じさせずメンバー同士がとっても仲の良いCAMPHOR-。プログラミング本が並ぶ本棚を覗いていると、「気になる本があれば何でもお貸ししますよ」と優しく声をかけてもらったときには、「ああ、この人たちはプログラミングが本当に好きなだけじゃなく、誰にでも温かく門戸を開いてくれているんだな」と感じた。その日、外部の学生を呼んで行われていたイベントでは、講演で習ったことを実際に手を動かしてやってみる場面があったのだが、わからない人にはCAMPHOR-のメンバーが教えに回るなど、初心者でも誰でも参加できるようなイベントとなっていた。こうしたメンバーの姿勢が、毎日でも来たくなる第2の我が家のようなコミュニティを形作っているのだと思う。

プログラミングの「プ」の字もわからない、そんな初心者からでも、プログラミングという武器を身に付け短期間でサービスやアプリの制作ができるようになる。それができる環境が身近に無償で開かれている。学校帰り、家でテレビを観ている時間があればぜひCAMPHOR-を訪れてみてはどうだろうか。温かく迎えてくれる仲間がいて、冷房代が節約できる涼しい部屋があり、さらにプログラミングスキルが身に付く、一石三鳥の素敵な場所があなたを待っている。

アウトエリート編集部

アウトエリート編集部

若き異端児達の“自”論展開メディア「アウトエリート」編集部。ちょっとした瞬間や毎日の生活の中で役に立つ…かもしれない知的な情報を上手いこと編集して流していきます。

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