こんなに違う!?アメリカの大学授業事情。米UCバークレー留学生現地リポート

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早稲田大学国際教養学部3年の何遥と申します。現在、私はカリフォルニアのU.C.バークレーに留学しています。中国人の両親のもと、日本で育つという少し特殊なバックグラウンドを持っているせいか、以前から心理学にとても興味があり、それが高じて心理学研究の最先端を行くカリフォルニア大学バークレー校に留学することを決めました。留学当初全米TOP10にも入る大学での生活に不安もありましたが、ここでの経験が本当に素敵なものなので、日本のみなさんにもこちらの学生生活がどのようなものかお伝えしたいと思い、この度記事を書かせてもらうことになりました。今回は、日本と異なる点も多い授業の仕組みをメインにご紹介するので、ぜひ楽しんで読んでください!

何 遥(か はるか):
自己紹介:神奈川県生まれ。2013年に早稲田大学国際教養学部に入学し、2年生時に1年間カリフォルニアのバークレーに留学。心理学の中でも特に、人の感情抑制と発達に関心を持っている。色々な言語を学ぶことが好き。

優秀だからといってハーバードを選ぶわけじゃない

日本の大学の場合、東大・京大・一橋・早稲田・慶應……といったように、偏差値で進学する大学を決める学生もたくさんいますよね。アメリカにもいわゆる名門校とそうでない大学という括りや、一般に発表されている大学ランキングは存在しますが、絶対的な偏差値のようなもので大学を決めることは少ないように思います。つまり、本当に成績の良い子でも、必ずしもTOPランクの大学を目指すわけではないということです。

私の友人を見ても、バークレーを選んだ理由は様々。〇〇教授のもとで学びたいから、校風が好きだから、〇〇分野に強いから、家族が通っていたから、実家から近い/遠いから……といった個人の選好で大学を選んでいたり、もちろん中には偏差値やランキングを参照する子もいます。奨学金が支給されるから、州内だと学費が安いから(アメリカの大学は日本と比べても基本的に学費が高い。州内の学生には成績に応じて州から支給される奨学金などもある)、といった経済的理由で選ぶ場合も多いようです。

大学の雰囲気が自分に合っているかどうかが大切であるため、1学期通って合わないと感じて他大学に編入することも頻繁にあります。また、短期大学や他の大学から希望の大学に入学できる編入制度が確立されていているため、3年時に編入することも一般的です。実際、1年間で編入してくる3年生は3,800人ほどいます。

門
http://www.berkeley.edu/

日本と同じ?違う?バークレーの履修事情

授業登録は基本的に登録順で決まりますが、授業が開講される学部に所属にしている学生は優先されます。履修希望人数が定員を超えると、抽選ではなくwaitlist(キャンセル待ち状態)登録となり、先に登録した人がキャンセルするのを待つことになります。

各授業は平均3~4単位で、ゼミによっては2単位のものもあります。学部によって、最低履修単位は12~13単位、最高で21単位履修することができますが、平均で15単位くらいだと思います。つまり、授業数にすると一学期間に4~7つの履修ですので、日本の大学に比べるとかなり少ないかと思います(その分一つひとつの授業が濃いのですが、それについては後に詳しく述べます)。どの授業も毎回山のような課題が課されるので、早く取って後で楽をしようといったことは現実的ではありません。

文学部志望から薬学部専攻への転身も!入学後に選べる衝撃の専攻

日本の大学の多くは入学時に学部が決まり、入学後の変更は難しいですよね。例えば、教育学部で入学した学生が医学部に転部することはとてもレアなケースだと思います。バークレー(ほとんどのアメリカの大学)では入学時に学部は定まっておらず、2年生あたりで決めます。このため、医学部志望で入学した学生がコンピューターサイエンス (CS)専攻に進んだり、文学部志望の学生が薬学に進む、といったことが頻繁にあります。CSで開講される授業はハードだと有名ですが、将来使えるプログラミングの技術が身に付くということもあって、専攻に関係なく多くの学生が受講を希望します。プログラミングの授業を履修していた友人の多くは夏休みに近くのgoogleやdropboxでインターンをしています。
専攻が決まっていない1年生時は興味のある入門の授業やアメリカ史、数学、ライティングなど全学部必須の科目を中心に履修します。医学部志望者のPre-medや法学部志望者のPre-lawの専攻は必須科目も多く、前もって計画を立てる必要があります。

講義を聞いているだけでは単位がもらえない成績評価~バークレーならではの授業 “DeCal” ~

成績はA+、A、A−、B+、B、C、F(落第)、またはpass(C以上)/no passの合否だけでつけられる場合があり、合否でつけられる成績はGPAに影響されないので、必須科目以外の科目で自信がない科目の場合はP/NPを選ぶことができます。この辺は日本の大学と同じような気がしますが、大人数の講義の場合、週に2~3回の講義とは別に、週1~2回の大学院生が教える20人ほどのディスカッションのセクションの登録をする必要があります。これをDeCalと言います(De=Democratic, Calはバークレーの愛称)。 セクションには様々な時間帯のものがあり、希望者が多い月曜~木曜の午後に対して、朝8時の時間帯や金曜日の特に午後の時間帯のセクションは人気がありません。アメリカの学生もやはり朝には弱いですし、華の金曜日には街に出て遊んだり、パーティに出席したいからです。

生徒が教えるdecalという授業
(DeCalのクラス)

高すぎる教科書事情

大多数の教科書は100~200ドルもして、これを各学期いくつも購入するのは経済的に負担が大きいため、多くの学生は正規購入以外の様々な方法で手に入れます。大学の近くにある専門教科書販売店では新品の他にも、半分以下の価格で中古品の購入やレンタル(半分以下なら書き込み可能)が可能だったり、アマゾンやFacebookの売買グループで手に入れることができます。
授業ごとに新品の教科書をすべて揃えると5万~10万円くらいすることになるので、出費としては痛いですよね。

授業にスマホアプリを使うのは当たり前…?学生と教授双方向のやり取りがとにかく充実

ここからは、私が履修していた授業の中で一番好きだったPsychology of Personality (性格心理学)の授業を例に紹介します。
この授業は、人の性格についてその種類や発達などを生物学や社会認知的理論の面から学ぶもので、60分の講義が週2回と、20人ほどでのディスカッションが週1回行われます(バークレータイムという何でも10分遅れで始まるので実際の授業時間は50分)。講義は250人強の大人数ですが、学生との双方向の授業にするため、Top Hatという携帯のアプリケーションを使って講義中にその場で抜き打ちテストがあり、理解度が低かった問題は次の授業でもう一度説明してくれるなどのケアがありました。また、大人数の授業をインタラクティブな授業をするため、i clickerというデバイスをよく使いました。出席を取ったり、学生の反応をチェックしたり、小テストをしたりして学生と講師の双方向学習を補助することに一役買っているのです。
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(i clicker。PCとデバイスがある。https://ets.berkeley.edu/images/iclicker-class

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(Top Hat https://tophat.com/mobile-apps/)

試験は中間試験が2つに期末試験が1つあり、マークシート、空欄を埋める問題と記述からなるもので、中間試験の後はいつも試験の構成について改善が必要なところ(問題の聞き方を明確にしてほしい・時間が足りないなど)を聞いてくれ、次回のテスト問題の制作に反映してくれました。また、毎回の試験でクラスの正答率が半分以下の問題は、「自分の説明が足りなかった・問題の書き方が明確でなかった」という理由でカウントオフにされるなど、本当によく学生のことを考えてくれています。このようにしっかりと話を聞いてくれることからも、学生と教授がお互いに「深く学ぶ」という同じゴールを持っているということが確認できました。

成績をつけてもらうには、3つの試験、ディスカッションへの貢献度、講義内の小テストに加えて心理学部の研究室で行なわれる研究実験の被験者になることが義務づけられています。
私が被験者として参加をした実験は、アンケートに答えるものから、もう一人の被験者と交流するもの、ホラー映画を視聴してつばを提供するものまで幅広くありました。

授業外では、教授とディスカッションを担当したGSI(大学院生)のoffice hour(話をしに行くことができる時間) に頻繁に行き、もっと深く知りたい研究について議論を積極的に行い、そのうちに自分の関心分野である感情抑制を研究する心理学の研究室で研究助手として手伝うことにもなりました。

図書館 期末
(期末テスト前の図書館の風景 http://www.berkeleyside.com/

「それぞれの道」をサポートしてくれる寛容な環境

留学前に抱いていた「アメリカの大学生ってどんな感じかな?」という疑問に対して、今でも一つの答えはありません。なぜなら本当に多様だから。1学期20単位以上履修して、バイトもクラブ活動もしている人もいたり、少しずつ4年以上掛けてゆっくりと卒業をする人もいて。卒業後すぐ大学院へ進学したり就職したりする人も入れば、ギャップイヤーを経て自分のやりたいことにたどり着く人も。編入してくる人が多かったり、他の大学に編入する人もいたり。こうして見ると、日本の大学生と実はあまり変わらないのかもしれませんね。ただ、そうして自分で決めた選択に対して、寛大に全力でサポートしてくれる環境が整っているという点では、アメリカの大学はとても素晴らしいと思います。

心理学を本格的に学びたくて、飛び込んだバークレー。不安やストレスで体調を崩すこともありましたが、異なる環境下でたくさんの人に支えられながら過ごした1年は、素晴らしい授業を受けること以外にも多くのことを与えてくれました。もうすぐで留学期間も終わってしまいますが、日本に帰ってからもバークレーで学んだこと、得たことを忘れず日々を大切に過ごしたいと思います。こうした日常生活に関してはまた次回の記事でお送りします。お楽しみに!

中間が近づくとpet hugと言って犬を触ることでオキシトシンを発生させ、学生のストレスを軽減する目的で待機するボランティア犬たち
(学生のストレス軽減のためのボランティア犬。Pet hugといって、犬に触れることで発生するオキシトシンにストレス軽減効果があるらしく、中間テスト前などには待機する)
http://www.dailycal.org/

アウトエリート編集部

アウトエリート編集部

若き異端児達の“自”論展開メディア「アウトエリート」編集部。ちょっとした瞬間や毎日の生活の中で役に立つ…かもしれない知的な情報を上手いこと編集して流していきます。

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