自分の個性や才能を活かせる道は何ですか~早大 留学生kevinの想い~

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僕は日本の早稲田大学に留学し、素晴らしい友達と出会いました。
彼らは、Tokyo Handsome Boysと称するゲストハウスを運営していて、僕に接してくれたのと同じように海外からくる旅行者にどうやったら楽しんでもらえるかということを本当に馬鹿みたいに一生懸命考えて活動しています。

ゲストが相撲を見たいと言えば、朝5時から並んでゲストのためにチケットを買ってきます。あまりにも安い宿泊費しかもらっていないため、電気代の請求が4万円だったときは大騒ぎし、活動停止の危機に陥ったこともあります。活動を続けるために、新聞のセールスのアルバイトも頑張っていました。女の子の旅行者が宿泊すると決まったときは、男7人でどうやって迎えようか一生懸命会議をして、結局、おもてなしが裏目にでてしまう(男7人で「WELCOME!」と言って迎えて泣かせてしまう)… という大悲劇もありました。

僕の役割はスーパートランスレーター。彼らの中に英語を話せる人がいないので、そんなときは「Kevin!」と召集がかかります。
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学校帰りには、ハンサムボーイズの家(ハンサムハウス)に集まり、毎日のように一緒に時間を過ごし、美味しいラーメンのことや恋愛のことなど、何でも話しました。
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「出る杭はうたれる」、「建前」-これは、僕が日本に来る前にアメリカで習った日本語で、日本では個性的であることがあまり歓迎されない文化だと思っていました。
だけど、日本で出会ったハンサムボーイズの人たちは本当に個性豊かで、才能をもっていました。彼らに出会えたことで僕はリアルな日本に触れることができました。

だからこそ、僕は日本人に言いたいことがあります。

“If you’ve got humanity and talent, damn well use it!”どうか、個性や才能を無駄にしないで!

kevinKevin McDaniel

:アメリカで言語学を学ぶ大学4年生。21歳。日本の漢字の美しさに魅了され、幼い頃から日本語を学ぶ。日本語を上達させたいという想いで2014年9月早稲田大学に留学。Tokyo Handsome Boysという早大生が運営する海外旅行者向けゲストハウスでスーパートランスレーターとして活躍中。2015年7月末で留学を終え、アメリカに帰国する予定。留学の集大成として日本語で記事を書くことを選んだ。

立派で褒められる社会人になるために?

ハンサムボーイズのメンバーは、建前は3~4年生(本当は5~6年生)ということもあり、就職活動をしたり、就職して卒業していく人もいました。

そんな一人、ハンサムボーイズのメンバーK君と出会ったのは、僕が留学して4か月目にあるパーティに参加したときです。はじめは、僕のことを「ファットボーイ」と呼んでからかってきたK君でしたが、英語の得意でない彼オリジナルのコミュニケーションの方法だとわかりK君とすぐに打ち解けました。仲良くなってからは、二人でお互いの言語を勉強し始めました。ある夜はマックで徹夜して、お互いに勉強を手伝い合いました。またある時は、「英語の勉強」だと言って、テイラー・スウィフトの「Shake it Off」を二人で歌ったこともありました。勉強というより友達のじゃれあいでした。

日本の文化もK君の性格も分かるようになりました。

日本のこと、K君自身のこと…彼はいろいろ教えてくれました。
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「前はさ、作家になりたいと思ってたんだ。」ある日、K君は僕に教えました。「詩とか小説とか色々書いてたんだよね…最終的にはもっと現実的な仕事にしようと決めたけどさ。いい夢だったよね。」

その数か月後、K君は僕にドンと言いました。
「社会人になるよ」と。

最初はそんなに大した事ないと思ったけど、それからだんだんとK君に会えなくなってきました。そして、社会人になってK君は神奈川県に引っ越しました。それ以来、今に至るまでK君と会えたのは1回だけです。
就職して何か月かが過ぎたある日、K君は立派なスーツを着てハンサムボーイズの家(ハンサムハウス)に現れました。僕は「よかった!!もう俺たちのことは忘れなさいと上司に言われてるのかと思ってたよ。」とK君をからかいました。彼は苦笑いをしていましたが、毎日夜遅くまで、時には週末さえも休みなく会社で働いているとのことでした。

そしてさらにK君が変わってしまったと感じたことがありました。ハンサムハウスには、K君の後輩の大学受験生が住んでいました。K君は久しぶりに顔を合わせたその後輩に向かって、「馬鹿なやつだなぁ。ずっとゴロゴロしたりして、英語を全く勉強しない。そんなんじゃ、いい大学行って、いい会社に入れる訳ないよ。」と意見したのです。
「でもさ、K君、今職場で目上の人に結構非難されたり侮辱されたりしているけど、K君は年を取ってからそんな風になりたくないよね?」と僕は言いました。
「絶対にならないよ」
「でもね、人にそんな事言ったら、年を取ってから今のK君みたいな職場の新入社員に同じぐらいのことを言うんでしょう?」
「ま、おっしゃるとおりだ」とK君は苦笑していました。

その日に起こった事が頭から離れませんでした。周りの人を助けたり、やりたいことを一生懸命やっていたK君はどこにいったのでしょうか。
僕は、皆がマイペースになって毎日ゴロゴロした方がいいとは決して思いません。頑張る事は偉くて、社会を動かす力だと心から信じています。だけど、自分の頑張る動機は何かを自分なりに考えないと意味がないのではないかと思います。
K君の言う「いい大学」や「いい会社」っていったいなんでしょうか?自分にとって意味がある場所じゃなくて、もしかすると世間の目に褒められるという理由なのではないでしょうか?自分が好きじゃない(?)仕事を人が変わるほどやって、社会から褒められることは、他人に褒められないかもしれないけど自分なりに意味のあることをやるより本当にマシなのでしょうか?
それでも、立派で褒められる社会人になるためには、そうしなければならないのでしょうか。大人らしくなるためには、こうならなければならないのでしょうか。人間関係を深く考えたり、この世界にない事を想像したり、恥じることなくテイラー・スウィフトを歌ったりすることは大人らしくなくて立派じゃない???そのようなことを捨てることは、『成長』なのでしょうか。僕は、『退化』であると考えます。

自分にとっての「意味」と自分を「活かす道」

とうとうリーダーの直輝君もハンサムボーイズをやめて社会人になると言い始めました。
「直輝君、どうしてハンサムボーイズを続けないの?」「ああ、そりゃ、このままじゃ食べていけない。ゲストからもらう宿泊費を高くしたくないし、ハンサムボーイズはやっぱりただの趣味としてしようと思っている。」「でも直輝君、ゲストからもうちょっとだけお金をいただいてみたらどう?ハンサムボーイズをビジネスみたいな感じにしたらどう?」「それはね、ゲストの視点からしたらちょっとずるいだろう?」「サービスを提供してお金をいただく事はずるくないと思うけど・・・。」

これは僕の推測ですが、直輝君がハンサムボーイズを続けない理由はお金の問題じゃなくて、大学を卒業したら社会に出てちゃんとした会社で働かなくてはいけない、という直輝君の思い込みなのではないかと思います。

直輝君と話すと、直輝君にとって意味がある事はハンサムボーイズだとすぐ分かります。直輝君はハンサムボーイズに全力で取り組んでいて、ゲストハウスに来る人の全員に愛されています。彼の熱意は一目で伝わってきます。直輝君達のハンサムハウスのレビューのページは五つ星ばかりです。僕にとって仕事をする事は自分の可能性と個性を活かすという事です。

社会人になると世間には偉いと思われます。でも、僕は必ずしも偉いとは限っていないと思います。褒められるために自分の大事なモノを失う事は、ただ弱いです。自分の夢のために頑張る事、自分にとって不可欠な事を守る事、皆の意見に身を委ねず、最後に自分でどうしたらいいかを判断すること。これらは偉いと思います。

直輝君はこれから、彼の持ち味が活かされるように、他人が言うのでも、僕が言うのでもなく、彼の道を進むことを希望します。直輝君にとって何をすることが「意味」があるのかと、どうしたら直輝君の個性や才能を活かせるのかを決めるのは、直輝君しかいないからです。
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If you’ve got humanity and talent, damn well use it!

アメリカでは就きたい仕事に必要な勉強をしていなかったり、資格を持っていなければ採用されません。だから、アメリカの学生は社会に出て何がやりたいかということをいつも考えてそのために必要なことをたくさん勉強します。
でも日本では、たくさんの学生が、貴重な大学生活の多くの期間を「就職活動」に費やさなければなりません。才能や個性をもって会社に入ったとしても、会社ではスクラッチで彼らのやり方を教えられるでしょう。そして、多くの場合あなたがどんなことを勉強していたかについては関係ないというでしょう。

日本を非難するわけでもなく、アメリカを褒めたたえたいというわけでもありません。
僕は日本に来てますます日本が好きになりました。大切な友達もたくさんできました。留学が7月で終わってアメリカに帰るのはとてもさみしいですし、みんなが心配です。どうか、彼らの才能や個性(財産)を失わないで欲しい。みんながみんならしい道を歩んで欲しい、僕はそう希望します。

皆にとって意味がある事と、自分を活かせる事は、何だと思いますか。

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アウトエリート編集部

アウトエリート編集部

若き異端児達の“自”論展開メディア「アウトエリート」編集部。ちょっとした瞬間や毎日の生活の中で役に立つ…かもしれない知的な情報を上手いこと編集して流していきます。

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