東大生ライター和田有紀子が説く「就活は好きなこと探しのGoalじゃない」

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就職活動をしていると誰もが一度は考えたことがあると思う。

「本当に自分がやりたいことはなんだろう」
「どうせ働くのなら好きなことを仕事にしたい」

そうして机の上で自分の好きなことを延々と考えてみたり、「自己分析」という他力本願ツールで自分に自己暗示をかけてみたり。
もちろん好きじゃないことより好きなことを仕事にできた方がHAPPYだし、机の前で自分のやりたいことを見つけられるのなら、それ以上楽なことはないでしょう。

しかし、好きなことを仕事にするのは当たり前ですが簡単じゃないし、誰しもが無理して好きなことを見つけようとする必要はないということを、ここではっきりと申し上げたいと思います。

著者:和田有紀子(わだ ゆきこ)
東京大学経済学部4年生。高校生のときに第2回田辺聖子文学館ジュニア文学賞「読書体験記の部」で最優秀賞を受賞。大学生向けサイトglobal innovation naviの編集長を務めた後、ライター兼学生キャップとしてアウトエリート編集部に参画中。

「好きなこと」とは「人生を懸けてもよいと思えること」

人にはそれぞれ、好きだなと感じることがあると思います。それはピアノを弾くことであったり、野球をすることであったり、研究をすることであったり。だけど、そうした人たちがみんなピアニストになるわけでもなければ、野球選手や研究者になるわけじゃない。なぜでしょうか?
――それは、自分が好きなこと・やりたいことと、できることとの間に現実的な乖離があるからです。その乖離を埋めるのが努力で、それぞれの人は生まれ持った才能や周囲の環境などスタートラインが必ずしも同じとは思いませんが、それでも「好きなこと」を「できること」にするために死ぬほどの努力を払うことができるか――この覚悟が、好きなことを仕事にできる人と趣味で終わる人の違いではないかと思います。

アイドルだって、生まれつきアイドルなわけじゃない

今でこそ高く評価されているゴッホも、生前は1枚しか絵が売れませんでした。「好きだから」だけじゃきちんと生きていけるという保証はどこにもなくて、実際生活も豊かではなく、精神も病んで、色々なことを犠牲にして絵を描き続けて。そういうゴッホだからこそ、魂を揺さぶるような絵を多く残すことができました。

アイドルを目指す女の子は、成功するかどうかも全く見えない中で、アイドルになりたいという一心で時間もお金もかけて、企業の面接よりさらに過酷なオーディションを通ってアイドルとなります。そこまでの道のりでは、もしかしたら極貧生活を送ることになるかもしれないし、それだけじゃ食べていけなくて、別の仕事で食いつないでいくことにもなるのかもしれない。今の華やかな活動だけ見ていたらわからないけれど、実際に辛酸を舐めて成功を手にしたアイドルやモデルや俳優/女優などはたくさんいます。

「好きなこと」は無理やり見つけるものじゃない

このように、仕事にしたいと思うような好きなことって、そもそも日常生活において「〇〇が好きだー」とかいう好きとは次元が違う話なのだと思います。そうした人生を懸けたいと思うような好きなことを持っているわけでもないのに、それを求めようとしていることはとても滑稽なことではありませんか。ここの意味をはき違えてしまうと、きっと就職をしてからも延々と「好きなことをしていない自分=不幸」の図式に悩み続けることになるのです。私は、近年の新卒の離職率がびっくりするほど高い理由の一つがここにあるのではないかと思っています。

ですからまずは、等身大の自分を認めてあげることが大切です。人生をかけたいと思えるような好きなことが見つからないからといって、自分の個性のすべてが否定されるわけでもないですし、早くにそれを見つけている人がエライわけでもありません。仕事をしてみて初めて面白いと思えるようなこと、これを一生やっていきたいと感じるようなことに気付く人の方が大半だと思います。だって、学生と社会人では学ぶことや触れることなどの経験量が圧倒的に違うわけですから。本業を学業としている中で、その後の人生で何をしたいか完全に決めきるのってとても難しいと思いませんか。「好きなこと」は無理やり見つけ出すものなんかじゃ決してなくて、ましてや就活するにあたって無理やり選択するべきものなどでもないと思うのです。

「本当に好きなこと」に出会うために今やるべきこと

最終的にどの企業を選ぶのかは、個人個人でそれぞれ理由が異なると思います。やりたい職種があるから、会社の理念に共感するから、先輩職員が素敵だと思うから、福利厚生が充実しているから……選ばれるかどうかは別として、一人ひとり色んな理由があっていい。大事なのは、働き始めてからとにかく目の前の仕事を一つひとつ真剣にやって成果を出すこと。まだ見ぬ「本当に好きなこと」に出会うためにも、成果を出して機会を得て、また成果を出してさらに大きな機会を掴む。これの繰り返しでたくさんのチャンスを得ることで、いずれは「これが好きだ、これがやりたい」と思えるようなことにきっと出会うのだと思います。今やっていることが「好きなことじゃない」ことは、努力しないことの理由にはならないし、私はやりたいことがよくわからないということは逆に様々なことに手を出すチャンスだと思っています。これだ!と思うものに出会ったら、他のことに構っている暇がなくなっちゃいますから、今やりたいことが見つからないからといって焦るのではなく、今はその準備の時間だと思って目の前のことに全力で取り組むことが大切なのだと思います。そして、今じゃないいつか、「人生を懸けることができること」を確信したときは、その時は迷わず飛び込んだらいいんじゃないかな。

アウトエリート編集部

アウトエリート編集部

若き異端児達の“自”論展開メディア「アウトエリート」編集部。ちょっとした瞬間や毎日の生活の中で役に立つ…かもしれない知的な情報を上手いこと編集して流していきます。

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