京大医学部の『頭脳王』廣海 渉が語る「積み重ねを続ける」戦い方

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写真提供:日本テレビ

日本テレビの人気番組『頭脳王』で一躍有名になられた現役京大医学部生の廣海 渉さん。

京大、しかも医学部に在籍しながら、日本のクイズ界で名を馳せる人物とは、一体どんな素顔を持つのか?
彼のルーツとその思考法について聞いてみました。

著者:廣海 渉
京大医学部に在学中、日本テレビ主催の超難問バトル番組『頭脳王』に出演。並みいる強豪を打ち倒し、2年連続のファイナリスト進出という実績を持つ。「京大医学部の天才」と称される。

元々の能力より大切な「勝ちたい」という意思

編集部

こんにちは。

まずは、クイズの世界に入っていったきっかけを教えてください。もともと驚異的な記憶力を持たれていたのですか?

 

――廣海

実は、今でこそ頭脳王に出していただいたりしていますが、クイズを始めた中学生の頃は全くダメダメで(笑)こうして大会などで上位に入れるようになったのも結構最近のことなんです。それに、クイズとの出会いにしたってそんなご大層なものじゃなかったんですよ。

中学ではテニス部にも入部していて…夏合宿2日目でリタイア。ここじゃ勝てないな…と思って、ほぼ興味本位で入っていたクイズ研究会に入り浸るようになった…みたいな感じです。

実際にクイズを始めてみると、僕より年下ですごいやつがいて、後に京大での後輩となるのですが、そいつにずっと勝てなかったんですよ。

途中からはもうそいつに勝ってやるっていう意地で続けてたというか…そういったモチベーションでクイズにのめりこんでいきました。

まあだから、記憶力がよかったとか、頭が抜群によかったからクイズを始めたというよりは、どちらかというとクイズで勝ちたいがために記憶力を強化していったという方が正しいかもしれません。

 

編集部

つまり持って生まれた能力と言うより、小さな挫折からの執念や強い意思の力で現在のステージまで駆け上がった、ということなんですね。

それにしても、あれだけの知識や情報を、一体どのようにインプットして記憶しているんでしょうか。普段から気をつけているような事はありますか?

ニーズを分解すれば見えてくるアウトプットから逆算した取捨選択

 

――廣海

テレビ番組なんかを見てると、視聴者からしたら、出演している人たちってもうホントなんでも知っていて、知らないことなんてないんじゃないか、くらいに思えたりしますよね。

でもなんら特別なことをしているわけではなく、多くの人が普段行っているようにただ単に様々な事柄を少しずつ覚えているだけで、現在持っている知識はその蓄積なんです。

強いて言うとするならば、僕は覚えるために「どんなことがクイズとして出されそうか」ということを考えています。

受験勉強に置き換えると親近感があるかもしれませんが、例えば京大英語では、英作文が出されることはわかっているので、英作文の題材として予想されそうな文章を自分で予想して訳したり、数学だと整数問題などよく取り上げられる分野の問題を集中的に解いて対策をします。

逆にいくら英語力があると言っても、京大で出される難解な和訳や英作ができなければ合格できません。

それと同じで、クイズにも出されやすいものと出されにくいものがありますし、アウトプットに合わせた覚え方をする必要があるのです。

もちろん見たり聞いたりして意識せずに入ってくる知識もあるかもしれませんが、なんでもかんでもインプットするわけじゃなくて、結局頭に残る知識は今まで何度も大会などで出題されているものなんですよね。

テレビなんかは特に視聴者も面白く感じられなきゃいけないので、視聴者にとってあまりにも深くて興味が湧かないようなことはクイズになりにくいなど、色々なクイズを実地で経験することで、これは必要でこれは必要じゃないとか、こういう風に出されそうということがわかってくるわけです。

 

編集部

傾向の分析なども、言ってしまえば「誰にとってどんな印象を残すか?」というコンテンツとしての戦略のウラ読みみたいなものですもんね。

そこを予測すれば情報の取捨選択ができ、効率的にインプットすることができる、ということですね。

 

――廣海

あとは知識の幅を広げるためには、初めて聞くことや自分が知らないことに遭遇したりしたときは必ず調べて頭の中に入れるようにしています。

電車の中で女子高生が話している中で知らない単語が出てきたりしたら、隣で速攻スマホで調べています(笑)

編集部

なるほど。「観る側のニーズ」から考えれば、まさに女子高生の話している内容…なんて問題になりそうなネタだと言えますね。

テレビを見ていると、どの問題にも瞬時に回答されているような印象なのですが、インプットしたものをどのように引き出しているのでしょうか。

写真提供:日本テレビ

常にアウトプットすることが、知識を定着させる秘訣

 

――廣海

インプットの引き出し方…ですか。難しい質問ですね。

多分、普段からアウトプットを心掛けることで、知識が頭の奥で錆びつかないようにしているのだと思います。

一番よい方法は、やっぱり答えることなんですよね。勉強と同じで、一人でやるよりも友達と問題を出し合う方が、定着がよいと感じます。

アウトプットでいろんなことを間違えて、その間違えたことがきっかけとなって新しいことを覚えるということもよくありますし。

また、クイズに出題されるような知識は一見無駄知識のように見えますけど、初めて会う人と話すときなんかはとても役に立つんですよ。

相手が興味あるカテゴリーの知識がちょっとでもあれば、僕も知ってます!みたいな感じで話のタネになりますからね。

知識を見せびらかすわけじゃなくて、こうして普段何気なく会話の中で使う機会があることで、奥に行きそうだった知識をまた呼び戻しているのかなと思います。

編集部

とにかくインプットした内容をアウトプットし続けることで定着・高速展開していく。クイズだけでなく、なんだか色々な事に使えそうですね。

得た情報を蓄積して活かす。その積み重ねを「続ける」戦い方

 

――廣海

様々な知識を付け加えることは重要ですが、せっかく頭の中に入れた知識も思い出されることがなくほこりをかぶっていったら台無しです。

覚えた知識をたまに引き出して、「ほこりとり」をしてあげることで、覚えたことを何倍にも引き立てることができます。具体的にどのようにして「ほこりとり」をするかと言うと…

  • 一度は覚えたけどあやふやな知識を改めて調べてみる
  • 話の内容にあやふやな知識をあえて織り込む
  • テストで答えられず悔しい思いをする
  • 覚えた知識を実生活で体験して痛感する

などいくらでもあると思います。

どんな分野を極めた人でも、最初はその分野の知識がまったくない素人の時期があります。

何事も近道などある訳ではなく、一つひとついろんなことを着実に体にしみこませる、その積み重ねを根気よく「続ける」ことが、その道を究めるための極意なのだと思います。

編集部

実際に実践し、結果を残してきた廣海さんだからこそ言えるシンプルで力強い言葉。。本当にありがとうございます。

最後に、廣海さん自身の今後についてお聞かせください。

将来はわからないことだらけ。でも、間違えたなら修正すればいい

 

――廣海

先日無事国家試験にも合格したので、4月からは晴れて研修医となります。

周囲からは他の道に進むことも若干期待されてる感はありますが、医学部生ですから当たり前と言えば当たり前ですし、もともと親が医師だということもあり、幼い頃から医師になりたいと思っていたようです。先日、小学校の卒業文集を見てみると、将来は僻地医療に携わりたいと書いていたのを発見しました。

将来のことは自分自身どうなるかまだわかりませんが、もし今進んでいる道が違うなと思ったらそのときに軌道修正すればよいくらいに考えているので、今は目の前に開けている医師への第一歩を踏み出し、そこで精一杯努力をしようと思っています。

クイズを始めたのも言ってみればたまたまですが、始まりはどうであれ、これまで志を高く持って気持ちを切らさずクイズに励んできました。

今月からは医学の道で日々研鑽を積んでいきたいと思っています。

編集部

これからもがんばってください!
ありがとうございました!

アウトエリート編集部

アウトエリート編集部

若き異端児達の“自”論展開メディア「アウトエリート」編集部。ちょっとした瞬間や毎日の生活の中で役に立つ…かもしれない知的な情報を上手いこと編集して流していきます。

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